1976年(オリジナル・リリースは1975年)。夜のFM番組で流されたのがこの「シェエラザード夜話」だった。 当時僕は高校生で、いろんなロックを聞きたいと思ってはいても、金がなかったのでそんなに沢山買えない。だったらラジオからエアチェックしようということだった。当時はFMエアチェックが人気で、FM雑誌(オーディオやアーティスト情報も含まれていた)が3誌以上発行されていたので、その人気ぶりは推して知るべし。また、この年の数年前位からオーディオの性能が爆発的に向上し、価格も低下してきたこと(コスパが上がった)から、性能の良いチューナーやカセットデッキが比較的入手しやすくなってきていた。幸い僕の父もオーディオに関して興味を持っていたので、まずは小遣いとバイト代でプレイヤーを買い、これをネタに親をだまくらかして、他のオーディオコンポを買って貰った。 この経緯やシステムについては後日語って行くとして、今回は表題の“ルネッサンス”。 当時はFMでフル・アルバムをオンエアしていた時代で、この「シェエラザード夜話」もまるまる1枚放送していたので、これをエアチェックし、何度も聞いて気に入って、玉光堂(すすきの店)で購入した。 この時、僕には家庭教師的な人がいて、この人が部屋によく入って来ていた。この日も突然入り込んで来たのだが、まさにこのB面「シェエラザード夜話」を聴いてゐた時で、彼はこんな音楽を聴いたことがなかったらしく、「こんな高尚なロックがあったのか!」と大変驚いていた。そんなことを思い出す。 「シェエレラザード」といえば、通常ならリムスキー・コルサコフだが、この曲は、曲想はリムスキー・コルサコフから得つつも、オーケストラアレンジも含めて全くのオリジナルなのだ。これはもう驚異としか言えない。A面の3曲も、アニー・ハズラムの歌声が華麗に舞う名曲ばかり。アレンジも素晴らしい。
音質の良いSACD盤